取引先の会社に年賀状を送る時の基本マナー【文例つき】
2024.07.09
取引先や顧客に送る「ビジネス年賀状」は、取引先やお得意様との関係を円滑に保つための、大切なコミュニケーションツールです。
インターネットが普及したことでメールやSNSで簡単に意思疎通ができてしまい、「年賀状」を出すことが当たり前ではなくなった時代だからこそ、節目において感謝の気持ちやお礼を伝えることは、互いの関係を深めるうえで非常に重要になってきています。
今回のコラムは、取引先に「ビジネス年賀状」を送る際に失礼がなく、できるだけ良い印象をもってもらうためのビジネスマナーや宛名の書き方をご紹介します。また、送る際の文例もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
取引先には年賀状を出すべき?
メールやSNSが普及した現代において、プライベートに限らずビジネスの場面においても「年賀状」を出さないことは珍しくありません。
そもそも「年賀状」とは、旧年お世話になったことへの感謝を表しつつ「今年もよろしくお願いします」と伝えるための挨拶状です。「ビジネス年賀状」においては、この古くから続く「年賀状」の重要な役割を特に強く持っています。
「年賀状」出すことが当たり前ではなくなった今だからこそ、出すか出さないかが意外と大きな違いになるということもあるでしょう。
そのため、「年賀状」を出したからと言って少なくとも損になることはありません。むしろ「年賀状」を出したほうが次の年も安心して取引先と仕事に取り組むことができ、何かしらのプラス要素を生む可能性もあります。
日頃から特にお世話になっている取引先の相手や社内の上司・先輩などには、個人的に年賀状を送るのも良いかもしれません。
取引先の会社に年賀状を送る時のマナー
取引先の会社に「年賀状」を送る際には、どのようなマナーに気を付ければいいのでしょうか。一般的なマナーについてご紹介します。
年賀状の配達日については、できれば1月1日の元日に届くようにするのが基本です。難しい場合は、遅くとも先方企業の仕事始めまで届くように投函しましょう。時季外れの「年賀状」はかえって先方の印象を悪くしてしまう可能性があるため、注意が必要です。
仕事始めの日に、「年賀状」を送っていない相手から自分宛てに「年賀状」が届いていた場合は、すぐに返信するようにしましょう。
「年賀状」を送っていいとされるのは、松の内(1月1日~1月7日)の間までです。相手に届く日が1月8日以降になる場合は「年賀状」ではなく、「寒中見舞い」を送るようにしましょう。
裏面の文言については、「年賀状」以外の用件を書かないように気を付けてください。「年賀状」を送付するついでに他の用件を書くことは失礼にあたるためです。例えば、年明けのアポイントメントや、進行中の案件に関する事柄などは、別の機会に改めて連絡するようにしましょう。
自社内で統一したデザインの「年賀状」を送付する場合、空いたスペースに手書きで一言添えると、印象アップにつながります。印刷された「年賀状」をそのまま送られても味気がないと感じる方もいらっしゃいます。取引先との関係にもよりますが、添え書きをする際には簡単な近況報告を行うと、親しみを持たれやすくなります。
裏面に記載する賀詞については、相手を選ばない賀詞を使用することが重要です。「ビジネス年賀状」は、目上の方に対しても失礼ないようにするのが鉄則だからです。賀詞は「謹賀新年」「恭賀新年」「謹んで新春のお慶びを申し上げます」など、4文字以上が適切とされています。「あけましておめでとうございます」は最も一般的な表現ですが、マナー違反ではなく誰に対しても使用できる賀詞とされています。
また、「迎春」「賀正」「初春」など、二文字の賀詞は簡略化された形式のため、目上の人が目下の人に送る印象が強く、取引先に送る「年賀状」には不適切であることも覚えておきましょう。
取引先の会社に送る年賀状の宛名の書き方
取引先に対して送る「年賀状」の宛名(表書き)の書き方について、覚えておきたいルールをご紹介します。
「ビジネス年賀状」は、縦書きにするのが原則のため、特別な理由がない限りあて名書きは縦書きにするようにしましょう。堅苦しくないイメージの取引先であれば横書きにすることもありますが、業種や業態によっても可否が異なる為、横書きにするときは事前に調べておくことをおすすめします。
縦書きで書く際には、数字は漢数字で書くのが基本です。ゼロは漢数字である「○」を用いるようにしましょう。アラビア数字の「0」とは異なり、円もしくはやや楕円になる為注意が必要です。
宛名の記入順については、必ず右から住所、会社名、部署名、役職(肩書)、名前の順番で書くようにしましょう。役職は通常名前の下に小さく入れますが、肩書がない場合は名前の右側に記載するようにします。
相手の名前は、はがきの中央に一番大きく書くようにしましょう。敬称の「様」は名前よりもやや大きく書くことが多いです。理由として、「年賀状」全体が締まってバランスがよく見えるからです。宛名が個人ではなく会社、部署の時は「御中」を付けるようにしてください。
会社名については、「株式会社」を「(株)」と省略して書くのは失礼にあたります。「株式会社」が前につくのか、後ろにつくのかもきちんと確認するようにしましょう。英語表記の社名は大文字、小文字、綴りの間違いに注意することも大事です。社名の一部のみが英語表記の会社や、英語表記が短い場合は英語を横に倒さず縦書きにしても失礼にあたりません。
英語表記が長い場合は、英語表記部分のみ横に倒して、縦書きで記入するようにしましょう。
また、差出人の住所や名前は、相手より小さく書くのが基本です。
取引先の会社に送る年賀状本文の書き方
取引先に送る「年賀状」本文について、どのような書き方が良いか文例と合わせてご紹介します。
「年賀状」の書き方については、基本的なルールはおさえましょう。
まず、記載する文章は句読点(、 。)を入れないようにします。これには「区切りをつけない」という意味が込められています。長い分では句読点を打ちたいところで改行し、読点部分は1文字分スペースを空けることで、読みやすくすることができます。
賀詞を述べた後「旧年のお礼」「新年も変わらぬ付き合いを願う言葉」「相手の健康や商売繁栄を願う言葉」の3要素を入れるようにすると、うまくまとまります。
また、忌み言葉は避けましょう。「忌み言葉」とは不吉なことを連想させる言葉のことで、「死」「別」「失」「絶」などがあります。去年の「去」は忌み言葉のため、「昨年」「旧年」を使うようにします。
「旧年中」のお礼の文例
「旧年中は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます」「新年も変わらぬお付き合いを願う言葉」は、今後どんな付き合いをしていけばいいかなど、相手との関係を加えて、新年の抱負を述べるのも一つの方法です。
「新年の変わらぬ付き合いを願う言葉」の文例
「日頃のご指導ご鞭撻に感謝いたしますとともにご期待に応えられる一年にしたいと思います」
「相手の観光や商売繁栄を願う言葉」についてよく用いられる「お体にご自愛ください」は重複表現となり、間違った使い方なので気を付けるようにしましょう。「自愛」自体に「自分の体を大事にする」という意味がある為です。「寒い日が続きますのでくれぐれもご自愛ください」のように使うのが正しい使い方になります。
「相手の健康や商売繁栄を願う言葉」の文例
「皆様にとりまして幸多き一年となりますよう心からお祈りいたします」
取引先の会社に送る年賀状の本文例
最後に、取引先への「年賀状」で一般的に使用される本文の例をいくつかご紹介します。
謹賀新年
旧年中は一方ならぬご高配にあずかり 誠にありがとうございました
御社の益々のご繁栄をお祈り申し上げますとともに
本年もなお一層のお引き立てを賜りますよう 何卒よろしくお願い申し上げます
令和○年 元旦
恭賀新年
旧年中は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます
御社の繁栄とご健勝をお祈り申し上げます
今年も前年と変わらぬご指導をいただけますよう
よろしくお願いいたします
謹んで新年のお慶びを申し上げます
旧年中は格別のご愛顧を賜り御礼申し上げます
御社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます
今年も一層御社のお力になれるよう 社員一同頑張ってまいります
デジタル全盛の時代だからこそ、温かい気持ちのこもった「年賀状」は、取引先にも好印象を与えてくれるはずです。
仕事でのやり取りを超えた親近感が生まれ、新たなビジネスの機会の創出につながることもあります。
忙しい中でもひと手間をかけて、真心の伝わる一通を届けたいものです。