ビジネス年賀状のポイントと注意点【文例付き】

ビジネス年賀状のポイントと注意点【文例付き】

あらゆるビジネスにおいて「年賀状」の送付は、取引先とのコミュニケーションツールとして欠かせません。ポイントや注意点をおさえていないと、印象を悪くしてしまうことや恥をかいてしまうこともあるかもしれません。

今回のコラムでは「ビジネスシーンで送る年賀状のポイントと注意点」について、文例や基本的なマナー、自分もしくは相手が喪中の時はどうすれば良いかなど、対応方法まで幅広くご紹介します。テンプレートやアイデアのヒントとしてぜひご利用ください。


目次

おさえておきたいビジネス年賀状のポイント

取引先や得意先に「年賀状」を送る目的や意図をしっかりと理解していないと、相手の心に届く「年賀状」は書けません。


ビジネスシーンにおける年賀状の重要性

メールをはじめ、デジタルでやり取りを済ませることが多い時代だけに、アナログな「年賀状」はひときわ目立ちます。社内のメンバーに対してだけではなく、取引先やお得意先との関係をつなぐ大切な機会にもなることは間違いありません。

ビジネスにおける「年賀状」は社外の方々に対して、「しっかりした人物である」という好印象を与えるなど大変貴重な役割を果たしてくれます。必ずマナーやNG表現を押さえたうえで投函しましょう。


取引先へ年賀状を書く目的

同じ取引先に対して、メールで送るか、心のこもったメッセージを添えたはがきの「年賀状」を送るか、どちらをもらった方が嬉しいでしょうか?きっと、感謝の気持ちが伝わりやすい「モノ」として届く「年賀状」のほうが喜ばれますし、今後も仕事に力を入れたくなるはずです。

手間はかかりますが、ぜひ「年賀状」を通じてお世話になっている方へのお礼や、日頃感じている感謝の気持ちを届けてみることをおすすめします。


ビジネスシーンで送る年賀状の基本マナー

まずは、宛名の書き方をはじめとした基本マナーからご紹介します。

宛名の書き方

宛名の書き方について、「年賀状」を相手の会社宛てに送る場合は「様」ではなく、必ず「御中」と敬称をつけるようにしましょう。
また、法人の種類を表す「(株)」については略称を用いず、「株式会社」と表記しなければ失礼にあたります。

宛名の書き順については社名、部署名のあとに、役職、氏名、そして「様」の順番で書くようにしましょう。

教師、教授、医師、弁護士、政治家といった特定の職業の敬称には「先生」を用いることもできます。

例)

株式会社○○

○○部

部長 ○○様


個人の自宅に送る際には、住所と相手の個人名のみを書くようにします。相手の会社名や役職は書かないようにするのが一般的です。家族ぐるみの付き合いがある時には、家族宛に連名で送ってもいいとされています。住所などは省略せず、数字は漢数字で書くのが正式であることにも注意が必要です。

また、宛名については横書きではなく縦書きにするのがフォーマルで正しいとされています。

裏面の添え書きも同様、縦書きで揃えるようにしたほうが良いでしょう。


賀詞の選び方

賀詞とは祝意を表す言葉です。様々な種類がありますが、ビジネスシーンおける「年賀状」では、送り先によって使い分けることが重要です。
上司、先輩など目上の方に送る賀詞は「謹賀新年」「恭賀新年」「謹んで新春のお慶びを申し上げます」など、4文字以上が適切とされています。「あけましておめでとうございます」は最も一般的な表現ですが、マナー違反ではなく誰に対しても使用できる賀詞とされています。

また、「迎春」「賀正」「初春」など、二文字の賀詞は簡略化された形式のため、目上の人が目下の人に送る印象が強く、取引先に送る「年賀状」には相応しくないことも覚えておきましょう。


ビジネスシーンで年賀状を送る時の注意点

次に、取引先や顧客などビジネス関係者に送る「年賀状」の主な注意点についてご紹介します。

年賀状を送付する範囲を事前に決める

ビジネスシーンで「年賀状」を書く際に「どの人からどの人まで出せば良いのだろう」と悩んでしまう方は多いかもしれません。
社内の上司・同僚については、原則として会社の慣習や規定に従うようにしましょう。「年賀状」送付のために相手の住所を聞き出すことを、禁止している会社もあるので注意が必要です。

企業の規模や業種・業態によって異なるものの、同じ部署に所属する上司・同僚のみに送るのが一般的です。

取引先には、会社で用意された「年賀状」を送付する形が多いでしょう。

ただし、印刷されただけの「年賀状」を送るだけではどうしても事務的な印象を与えがちです。手書きで一言添えることで、より親しみの湧く印象に変えることができるでしょう。


取引先の同一部署内の複数人に送る場合は連名にしない

取引先に対し、同一部署内の複数人に「年賀状」を送る場合には、基本的に担当者一人だけに送るといいとされています。お世話になった方が同一部署内に複数いるなど、複数の方に送った方が適切と思われるときには、宛名を連名にせず、一人ずつ別々に「年賀状」を出すようにしましょう。

ビジネスシーンにおいて、「年賀状」の宛名を連名にして送ることは少ないです。せっかく届いても、個人として受け取りづらくなってしまうことが理由として挙げられます。組織全体に対して送る際には、「株式会社○○ 営業部御中」のように部署名を記載します。

自分以外に、自社の上司・同僚から「年賀状」を出す場合は、同じ会社からの「年賀状」が複数届いても迷惑になってしまう可能性があるため、代表者を決めて送った方がいいでしょう。


年賀状は12月25日までに投函する

原則、目上の方や取引先・顧客先の「年賀状」は1月1日の元日に届くように出しましょう。例年、12月25日までに差し出された「年賀状」は元日に届きます。

12月26日以降は元日に届かない可能性が出てきますので、早めに準備を進めましょう。

「年賀状」は松の内(1月1日~1月7日)までに先方に届けば失礼ではありませんが、ビジネス関連の「年賀状」はなるべく早めに届ける方が、相手に対する印象はよくなることでしょう。期日までに投函するように心がけたいものです。


書き損じた場合は新しいはがきを使う

宛名や手書きのメッセージを書き損じてしまった場合、修正液や修正テープなどで消すことはマナー違反になります。書き損じた年賀はがきは、料額印面が汚れていなければ手数料を払うことで切手や郵便はがき、郵便書簡、特定郵便などと交換してもらうことができます。書き損じのない「年賀状」を送るように心がけましょう。

誤字・脱字についても厳禁です。部署名や名前などが間違っていないか、事前に必ず確認するようにしましょう。


忌み言葉と重複表現を避ける

「忌み言葉」とは、縁起が悪いとされる表現のことを指します。

「死」「別」「失」「絶」などがあります。去年の「去」は忌み言葉のため、「昨年」「旧年」を使うようにします。

同じ意味を持つ言葉を重ねる「重複表現」も使わないようにしましょう。

「新年あけましておめでとうございます」は「新年」に「年が明ける」という意味があるので間違った使い方です。
「あけましておめでとうございます」や「新年おめでとうございます」にしましょう。

「一月一日 元旦」は「元旦」に「一月一日の朝」という意味がありますので、こちらも一緒に使うと誤りになります。


文面に句読点を使わない

「年賀状」の文面には句読点をつかってはいけません。句読点を使わない理由には諸説ありますが、句読点を「文章を読み慣れない人向けの符号」ととらえ、あえて使わないことで「送り先への敬意」を示すという考え方や、「文章の区切りを示す符号」を避けることで、年初のご挨拶で「区切りをつけない」という意味合いがあるといわれています。いずれにしても句読点の使用はNGですので避けるようにしましょう。


ビジネスシーンで送る年賀状の文例集

ビジネスシーンにおける「年賀状」の文例を、取引先・上司・先輩・同僚・部下といった送る相手ごとにご紹介します。「年賀状」の文面は主に以下の要素から構成されています。


新年をお祝いする賀詞

旧年中の相手への感謝を表す言葉

相手の健康や繁栄、発展を願う言葉

今後の指導や支援をお願いする言葉、新年の抱負

日付


取引先、顧客に送る年賀状の文例

謹賀新年

旧年中は格別のご高配にあずかり心より御礼申し上げます

貴社の益々のご繁栄を心よりお祈り申し上げますとともに

本年もなお一層のお引き立てを賜りますようよろしくお願い申し上げます

令和○年 元旦


謹んで新しい年をお祝い申し上げます

旧年中は格別のご用命を賜りまことにありがとうございます

皆様のご健勝と活躍を心よりお祈りいたします

本年も倍旧のご愛顧のほどお願い申し上げます


上司・先輩に送る年賀状の文例

謹んで新春のお慶びを申し上げます

旧年中は公私にわたって親身なご助言を賜りありがとうございました

本年はより一層精進しご期待に応えられるよう努力して参ります

本年も変わらぬご指導ご鞭撻をお願いいたします


旧年中は温かくご指導くださり誠にありがとうございます

おかげさまで大変充実した一年を過ごすことができました

ご家族のご健康とご多幸をお祈り申し上げます

今後ともご厚情のほどお願い申し上げます


同僚・部下に送る年賀状の文例

賀正

○○プロジェクトでは大変お世話になりました

共に飛躍の年にしましょう

画面越しだけでなく、また会える日を楽しみにしています

本年もよろしくお願い申し上げます


迎春

楽しいお正月をお迎えでしょうか

日々着実な成長を感じて頼もしい限りです

今年もより一層の活躍を期待しています


自分や相手の身内に不幸があった場合、年賀状代わりに出す書状

自分の身内や相手方に不幸があったとき、「年賀状」の代わりとして送る挨拶状についてご紹介します。

身内に不幸があった場合

自分の身内に不幸があった際には、先方に対して「喪中はがき」を送り、「年賀状」を出せないことを申し出ることが必要です。一般的に喪中はがきは、相手方が「年賀状」の作成を始める前の時期である、11月中旬から12月初旬までに送るのがマナーとされています。

喪に服す期間は亡くなってから約1年間(13か月の場合もあります)で、二等親以内が亡くなったときに出すのが一般的です。

その前の前半でも後半でも、翌年のお正月は喪中に当たるのが通例ですが、地域の風習や故人との間柄によっても異なります。事前に確認しておきましょう。


相手方に不幸があった場合

もし相手方から喪中はがきが届いたら、「年賀状」を出さずに寒中見舞いを返信するようにしましょう。
寒中見舞いは、松の内が明けた1月8日から節分(2月3日)頃まで届くように投函します。

先方から喪中はがきが届くのは、11月から12月初旬です。
もし、届いてすぐにお悔やみの気持ちを表したいときには、寒中見舞いではなく「喪中見舞い」や「年始状」を送るようにしましょう。

喪中見舞いには、まず題字として「喪中お見舞い申し上げます」と書き、次にお悔みの言葉を述べます。
最後に「くれぐれもご自愛ください」といった相手を気遣う言葉を書くのが一般的な文例です。

「年始状」では「謹賀新年」「あけましておめでとうございます」といった賀詞を避けるようにします。賀詞の代わりとして「一陽来復」のようにさわやかな言葉を用いるのも良いでしょう。

「新年のご挨拶を申し上げます」「旧年中は大変お世話になり誠にありがとうございました」といった挨拶や、感謝の言葉を述べるのは問題ありません。先方を気遣う気持ちが大事ですので、堅苦しく考えすぎなくても大丈夫です。

喪中見舞いにつては年末年始を問わず送ることができますが、年始状は「年賀状」と同じ時期である松の内(1月1日~1月7日)に届くように投函することが必要です。年始状について注意したいのは、「年賀状」ではできるだけ年末ぎりぎりに投函するようにしましょう。

年始状は必ずしも喪中の方だけでなく、被災された地域の方などに対して、「年賀状」の代わりとして送ることも可能です。


最後に

沢山のルールやマナーがあって窮屈や面倒に感じるかもしれませんが、だからこそ手書きの一言やデザインなどのちょっとした工夫が、受け取った側は嬉しいはずです。
取引先との関係をつなぐ、大切な機会にもなることは間違いありませんので、ぜひこのコラムを参考に「ビジネス年賀状」を書いてみてください。


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