年賀状で句読点はマナー違反? その理由とは

年賀状で句読点はマナー違反? その理由とは

年始の挨拶として日本人に馴染み深い年賀状ですが、実はいろいろなマナーがあることをご存じでしょうか。
そのひとつが、年賀状に句読点を使ってはいけないというものです。

この記事では、年賀状で句読点を使うとマナー違反になる理由や、句読点を使わない文章の書き方のコツ、句読点を使わない年賀状の文例などを紹介します。


記事の監修者
中 川  越 〈なかがわ・えつ〉

中川越

プロフィール
1954(昭和29)年 東京品川生まれ。手紙文化研究 、コラムニスト 、イラストレイターとして幅広く活躍。
古今東西、有名無名を問わず、各種手紙に取材し、手紙の在り方、表現の工夫、コミュニケーションの本来について、日々探求を続けている。
中川  越 ホームページ


目次


年賀状で句読点がマナー違反になる理由とは

年賀状に「、」や「。」などの句読点を使うと、マナー違反になってしまいます。
その理由は2つあり、1つ目は句読点が「終わり」「区切り」を意味するので、「お祝いごとの終わり」や「付き合いの区切り」を連想させてしまうからです。
そのため、縁起の良い新年の挨拶に使うのにはふさわしくないと考えられています。

また、年賀状で句読点を使わない理由の2つ目は、「相手へ敬意を表すため」という考え方によるものです。もともと日本語の文章に句読点の文化はなく、導入されたのは明治時代になってからと言われています。

教育が普及した際に「子どもでも文章が読めるように」との理由から句読点が使われるようになりました。
そのため句読点を使うと、相手を「句読点がないと文章の読めない子ども扱いしている」と考えられるようになったのです。

こうした理由から、年賀状に限らず、表彰状や感謝状などあらたまった文章には句読点を使わないという慣習が残っています。


句読点を使わずに文章を書く工夫

句読点を使わずに読みやすい文章を書くポイントを解説します。

適度に改行を入れて読みやすくする

句読点を使わずに文章を書く際は、適度に改行を入れると読みやすくなります。
年賀状の場合は、少なくとも一文に一度改行を入れるとよいでしょう。

一文が長くなる場合は、文中でも適度に改行を入れることでリズムが生まれ読みやすくなります。
改行を入れる目安は、文節の切れ目です。一行が短すぎる改行はかえって読みづらくなるため、意味が通じる範囲で改行を入れるようにしましょう。

また、単語や言葉の途中での改行も読みづらさの原因になりますので、長い単語や言葉を使う場合は余裕をもって改行してください。


句読点が入る場所にスペースを入れる

一つ一つの単語や文節が短すぎて、改行すると逆に読みづらくなってしまう場合は、改行の代わりにスペースを活用してみてください。

句読点が入る場所にスペースを入れると、文章にほどよくすき間が生まれて読みやすくなります。
スペースを入れる際は全角1文字分では少し広すぎるので、半角1文字分程度のスペースを入れるように意識してみてください。


あまり長い文章にならないようにする

句読点を使わずに読みやすい文を書くためには、一つ一つの文章をコンパクトにまとめることが大切です。
一文が長くなりすぎる場合は、一文一意(ひとつの文章にひとつの内容を込めること)を心がけると、一文を短くまとめやすくなります。

長い文章になってしまいそうなときには、内容で切り分けていくつかの短文にまとめられないか検討してみましょう。

また、気持ちを込めるあまり、言葉が丁寧になりすぎてしまうのも文章が長くなる要因のひとつです。
書いた文章をよく見直して、長い言葉は言い換えられないか、この単語はなくても伝わるのではないか、といった観点から推敲してみてください。


年賀状のテンプレートを利用する

句読点を使わずに年賀状を書くのが不安な場合は、賀詞や添え書きの挨拶文がデザインされた年賀状のテンプレートを利用するのもひとつの手です。
テンプレートを利用すれば、最後に書き添える手書きメッセージ部分以外の句読点は気にする必要がありません。

ビジネス向けのフォーマルなものから、カジュアルに使えるかわいらしいものまで、年賀状のテンプレートは種類が豊富です。自分の目的に沿ったテンプレートを探してみてください。


句読点を使わない年賀状の文例

ここでは、句読点を使わない年賀状の文例をご紹介します。

【文例】

昨年中はいろいろとご教示いただき 心よりお礼申し上げます
本年もどうぞよろしくお願い致します

家族そろって無事にお正月を迎えられました
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り致します
今年もよろしくお願い申し上げます

幸多き新春を迎えられたことと お喜び申し上げます
昨年はなにかとお世話になり ありがとうございました
本年もよろしくご指導のほど お願い申し上げます

旧年中は色々とご交誼をいただき誠にありがとうございました
本年も何卒よろしくお願い申し上げます

これまでと違う自粛の日々が続く中 お元気にお過ごしでしょうか
寒い日が続きますので 風邪をはじめウイルスにはくれぐれもお気を付けください

まとめ

この記事では、年賀状で句読点を使ってはいけない理由と、句読点を使わずに読みやすい文章を書くポイントについて解説しました。

親族や友人など、親しい間柄で気にしすぎる必要はありませんが、取引先や上司など、目上の方に対しては、知らず知らずのうちに失礼な年賀状を送ってしまわないよう注意しましょう。

句読点を使わずに年賀状を書く際に対しては、今回ご紹介した文例を参考にしてみてください。



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