いまさら聞けない年賀状の賀詞のマナー・正しい書き方

いまさら聞けない年賀状の賀詞のマナー・正しい書き方

年賀状は新年のお祝いを述べるものです。そこで主役になるのは賀詞=お祝いの言葉です。賀詞には多くの種類があり、 それぞれ意味やニュアンスが異なります。とくに注意したいのは、相手との上下関係や改まるべき相手か気楽な相手かによって、使えるものと使えないものがあることです。

このページでは年賀状の賀詞マナー・正しい書き方とともに、年賀状にまつわる意外に知らない豆知識もご紹介します。


記事の監修者
中 川  越 〈なかがわ・えつ〉

中川越

プロフィール
1954(昭和29)年 東京品川生まれ。手紙文化研究 、コラムニスト 、イラストレイターとして幅広く活躍。
古今東西、有名無名を問わず、各種手紙に取材し、手紙の在り方、表現の工夫、コミュニケーションの本来について、日々探求を続けている。
中川  越 ホームページ

目次

意外と知られていない賀詞の使い方

目上の人(顧客、上司、年上など)の場合は、「謹」の文字が入った賀詞を使うようにします。「謹」は、つつしんでなになにする、という敬意を示す言葉で、「謹賀新年」は、つつしんで新年のお祝いを申し上げます、という意味で、とてもていねいな印象になります。たとえ目下の人に対してでも、改まったてねいな気持ちを伝えたいときは、「謹」をまじえた賀詞にします。
・謹賀新年
・謹んで新年のご祝詞を申し上げます

相手が目下の人や友人の場合は、その他の一文字や二文字の賀詞も使えます。よく年賀状に使われるものに次のようなものがあります。
・寿
・福
・賀正
・頌春

年賀状をひとつの文面でまとめて印刷してしたい場合は、上下関係にこだわらずに使える下記の賀詞を使うようにするとよいでしょう。
・あけましておめでとうございます
・新年おめでとうございます
・初春のお慶びを申し上げます


年賀状で使用を避けたい言葉

年賀状はお祝いの挨拶状なので、縁起が悪いとされる「忌み言葉」は使わないようにしましょう。

「滅びる」「失う」「別れる」「破れる」「溺れる」「衰える」「倒れる」「枯れる」「去る」などが忌み言葉にあたるので、「昨年は大変お世話になりました」と書く場合も「去年」と書くことは避けて「昨年」や「旧年」を用いましょう。

また、誤用しやすい賀詞が「A Happy New Year」です。「Happy New Year」が一般的な正しい言い方とされています。

賀詞には相手への敬意がこめられていなくてはならない

なぜ一文字や二文字の賀詞を目上の人に使ってはいけないかというと、本来、賀詞というものは、謹賀(謹んで祝う)、恭賀(うやうやしく祝う)などの言葉により、相手への敬意を表し、礼儀正しい挨拶にすべきだからです。

例えば、寿、福、賀正、頌春といった一文字や二文字の言葉はめでたいことを表現しているだけで、相手への敬意がこめられていません。すなわち目上の人やあらたまった気持ちを伝える年賀状に使うのは、ふさわしくないということになります。

もうひとつ覚えておきたいことは、年賀状のなかで賀詞は重複させないということ。「迎春」と書いた横に添え書きで 「あけましておめでとうございます」などと書くのは間違いです。
ときおり見かける「新年あけましておめでとうございます」という賀詞も、一般的には「旧年が明けて新年になる」のだから 「新年(が)明けまして」という表現はおかしいとされています。異論もあるようですが、世間一般的には、 「新年あけましておめでとうございます」は誤った使い方とされていますので、避けるようにしたほうがよいでしょう。

賀詞ひとつ取り上げても、マナーや正しい書き方への指針がいろいろあります。常識がないと思われてしまわないように、年賀状を書くときは慎重に、ある程度勉強してから書くようにしたいものです。

宛名書きの注意点

・番地・部屋番号などの数字

住所や宛名は、横書きでも構いませんが、縦書きの方がよりフォーマルに仕上がります。
また、縦書きの場合、番地などは本来「一丁目」「二番地」「三ー四」などのように漢数字を用いるのが正式とさせていますが、ビルやマンションのフロア数、部屋番号はは、二けた、三けたの数字を漢数字で書くとわかりにくくなる場合があるので、漢数字ではなくアラビア数字で書いても問題ありません。

また、住所は長くても2行に収まるように書き、ビル名やマンション名は2行目に書きます。また郵便番号を書いているからと、都道府県を省略しがちですが、きちんと都道府県から書くほうが、ていねいであらまった印象になるといえるでしょう。

表面に差出人の住所と名前を記載する場合は、宛名の住所や名前より小さく書くのが礼儀です。


・敬称の書き方

個人宛ての場合は名前の後に「様」をつけます。「殿」は、年賀状はもちろん、一般的なはがきや手紙においても、最近では使われることがほとんどありません。連名の場合は『山田太郎様・花子様』のように、それぞれの名前の下に「様」を付けます。連名なのに一つの「様」で済ませてしまうのは失礼です。

ご家族宛てであれば、「ご家族様」「ご一同様」「△△家 ご一同様」などでも構いません。

会社などの団体は会社名・団体名の後に「御中」をつけます。会社・団体の個人に送る場合は、部署名を右肩に、役職名を名前の上ににやや小さめに書き、個人名の後に「様」をつけます。


 正しい表記

○○株式会社 御中
○○株式会社 ○○部 御中
○○株式会社 ○○部 部長 ○○様


誤った表記

○○株式会社 ○○部 ○○○○社長様
○○株式会社御中 ○○部御中 ○○様
○○株式会社御中 ○○部御中

年賀状の投函はいつまでが最適?

年賀郵便特別取扱は、12月15日から受付が始まります。
地域や地方の郵便事情にもよりますが、一般的には12月25日までに投函すると元日に届くと言われています。

年賀状は元日に届ける事が礼儀です。また、元日にいただくのは嬉しいものです。
昔は1月2日の「書き初め」に年賀状を書いていたと言われ、松の内(1月7日・もしくは15日)までに届けば失礼にはあたらないでしょう。

1月7日ないし15日までの松の内に届くように投函できない場合は、寒中見舞いのはがきで、寒中見舞いとして出します。


寒中見舞いはがきは、年賀状への返礼や喪中はがきを出せなかった方への年賀欠礼のご挨拶にも利用することができます。「今年はあの人から年賀状が届かなかったな。どうかしたのかな?」と心配させてしまったといケースもありますので、忘れずに出すようにしましょう。

古い年賀状どうしてる?処分の方法

もらうのはうれしい年賀状ですが、毎年たまっていきますし、繰り返し見るものでもありません。「いつまで保管すればいいの?」「処分をしたらダメなの?」と疑問に思った経験はないでしょうか。大切に保管したいと思いつつも毎年増えていくものなので、あまり大量になると保管スペースの問題があり、処分する人も少なくありません。

処分する場合はそのままゴミ箱に捨てるのではなく、下記のような方法で適切に処分しましょう。


・シュレッダーにかける

最近の年賀状は写真を使っていることも多いので、シュレッダーが一番安全で簡単です。 ..


・はさみで切る

処分する量が少なく、わざわざシュレッダーを買いたくないのであれば、はさみやシュレッダーはさみを使って細かく断裁して、処分しましょう。何枚も刃を備えたシュレッダーはさみは100円ショップでも販売しているので1つあると便利です。


・個人情報保護スタンプを使う

個人情報保護スタンプで住所や名前を隠す方法です。スタンプが無い場合は、黒のペンで代用しましょう。
ただし、はさみで切る方法と同様に量が多いと大変です。


・瞬間接着剤とガムテープを使う

年賀状を何十枚か重ねて、間に瞬間接着剤を流し入れて固め、ガムテープなどでぐるぐる巻きにして個人情報を隠し、ゴミの日に処分します。手間は掛かりますが、まとめて処分できる方法です。

年賀状を処分するときは、個人情報に気をつけて、安全に処分しましょう。


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