余寒見舞いとは? 基本の書き方やマナーをご紹介します
2024.09.18
寒さの厳しい季節に送る余寒見舞い。最近では、年賀状を出せなかった時や喪中はがきの代わりに出す方も増えました。
しかし、どちらも寒い時期に出すのは分かるものの、余寒見舞いと寒中見舞いの違いが分からず、困っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、余寒見舞いの基本の書き方やマナーなどをご紹介します。
記事の監修者
中 川 越 〈なかがわ・えつ〉
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目次
余寒見舞いと寒中見舞いの違い
寒さの厳しい冬に出す余寒見舞いですが、同じ冬に出す挨拶状に「寒中見舞い」があります。
余寒見舞いと寒中見舞いの違いを解説します。
余寒見舞い
余寒見舞いは、立春(2月4日ごろ)を過ぎてから出す挨拶状です。
暦の上では春を迎えたものの、まだ厳しい寒さが残っている時期に出します。
いつまでという目安はありませんが、寒さの中で相手を気遣うために出すものですから、温かくなってからでは主旨に合いません。
そのため、2月中を目安に投函します。寒さの厳しい地方宛手の場合は、3月上旬までを目安に出すのがおすすめです。
寒中見舞い
寒中見舞いは松の内(1月7日)が明けてから立春(2月4日ごろ)までに送る挨拶状です。
寒中見舞いは、年賀状の出し忘れや喪中の方に年賀状を出してしまったことへのお詫びに使われることも多いようです。
自分や相手が喪中の場合は、明るい雰囲気の言葉などは書かないようにします。
喪中に関係ない寒中見舞いの場合は、明るい話題を書いてよいでしょう。椿や梅、雪など冬をイメージしたデザインのものを選ぶのが基本です。
年賀状の時期が過ぎたら寒中見舞い、立春を過ぎたら余寒見舞いと覚えておきましょう。
また、余寒見舞いは、寒中見舞いが間に合わなかった場合にも用いられます。
余寒見舞いの基本的な書き方
余寒見舞いは、主に以下の内容で構成されています。
・寒中/余寒見舞いのあいさつ
・時候のあいさつ
・先方の安否を尋ねる言葉
・自身の近況を伝える言葉
・日付
「拝啓」や「敬具」などの結語は書きません。
久しぶりの連絡になる場合はその旨を書き、相手の近況を訪ねます。寒中見舞いをもらっている場合は、お礼の言葉なども添えましょう。 喪中の相手に出す場合は、明るい話題やおめでたい言葉などは避けます。
自分が喪中の場合は、いつ誰が亡くなったのか、そのために挨拶状が出せなかったことも書いておきます。
そして最後に、寒さに気をつけるような言葉や春を待ちわびるような内容にすると、きれいにまとまるでしょう。
余寒見舞いの文例
ここでは、余寒見舞いの文例をご紹介します。
幅広い使い方ができる文例
余寒お見舞い申し上げます
「立春」という言葉はどこへいってしまったのかと思うほど 厳しい寒さが続いております
暖かくなりましたら またお目にかかりたいと思っております
どうぞお体を大切にお過ごしください
春の陽気が待ち遠しいこの頃ですが その後いかがお過ごしですか
先日は、新年早々一家で大変お世話になり 感謝しております
おかげ様で例年に勝る楽しい年始のひと時を過ごすことができました
暖かくなりましたら 是非こちらへいらしてください
立春とはいえまだまだ寒い毎日ですので どうぞお体を大切に
寒中見舞いを貰った場合の文例
余寒お見舞い申し上げます
先日はご丁寧なごあいさつを賜り 誠にありがとうございました
おかげさまで私どももつつがなく過ごしております
しばらくは寒さが続くようですので どうかくれぐれも自愛ください
喪中に年賀状を貰った場合の文例
余寒お見舞い申し上げます
立春を過ぎましたが厳しい寒さが続いております
お変わりありませんでしょうか
実は昨年○月に(続柄)を亡くし 年末年始のごあいさつを控えさせていただきました
欠礼のお知らせが遅れてしまい申し訳ございません
くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます
余寒見舞いに使われるデザイン
余寒見舞いに使われることの多いデザインは、早春に咲く花や雪などの季節の風物です。人気のあるモチーフを以下に挙げておきます。
・椿
椿は昔から愛されてきた日本を代表する花の一つです。春の到来を予感させる美しさがあり、新春にピッタリの雅やかな雰囲気があります。
・梅
寒さに耐えながらも花を咲かせる梅の姿は、長寿や気高さを象徴するデザインとして人気があります。春の訪れを感じさせる鳥のメジロと組み合わせたデザインも一般的です。
・水仙
早春に花を咲かせる水仙は、神秘的な清廉な雰囲気を持っています。椿ほど明るい色合いではないため、喪中の方へ送る挨拶状にも使いやすいデザインです。
・ふきのとう
雪の中から顔を出すふきのとうは、春の訪れが近いことを知らせてくれます。明るい気持ちにさせてくれるため、人気のあるデザインの一つです。
・雪
雪や雪の結晶、雪だるま、雪うさぎなどもよく用いられるモチーフの一つです。
真っ白な雪は神秘的な雰囲気があり、使いやすいデザインです。雪だるまや雪うさぎはかわいらしい雰囲気があり、寒さの厳しい中、ふわっとした印象が温かい気持ちにさせてくれます。
デザインの選び方
デザインの選び方は、「年賀状や寒中見舞いを出しそびれた場合」と「喪中の場合」で異なります。
・年賀状や寒中見舞いを出しそびれた場合
年賀状や寒中見舞いを出しそびれたり、出さなかった方からいただいたりした場合は、特に制限はありません。
余寒見舞いでよく用いられる新春の花や雪などを選びます。
ただし、金色などお正月のイメージが強い色や絵柄は「時季外れ」になるので避けましょう。
余寒見舞いはあくまで季節の挨拶状であり、新年を祝う年賀状とは別のものであることを覚えておくことが大切です。
・喪中の場合
自分や相手が喪中の場合は、派手過ぎない落ち着いたものを選びます。
「心に寄りそう」という意味を込めた2羽の鳥や、「難を転じる」などの意味がある「南天」などもおすすめです。
余寒見舞いのマナー
余寒見舞いには、他の挨拶状のようにマナーがあります。ここでは、基本的なマナーについてご紹介します。
句読点はできるだけ使わない
余寒見舞いなどの挨拶状は、原則として句読点を使いません。
これは、「終わり」や「区切り」を意味する句読点は、縁起が悪いとされているためです。
つまり、「相手との関係性が終わる、区切りをつける」という意味が含まれると考えられています。ただし、お祝い事である年賀状のように厳密な決まりではないとされています。
写真入りのものは避ける
本来写真入りのものは使用してはいけないという決まりはありません。
ただし、相手の近況が分からないと、写真の選び方によっては相手を傷つけてしまう可能性があります。
特に、喪中の相手に、幸せな家族写真や華やかな結婚式の写真などは避けましょう。余寒見舞いは近況報告も兼ねていますが、急がなくていい報告であれば、喪が明けたころに知らせるのが無難です。
年賀はがきは使わない
「余ったから」といって、余寒見舞いに年賀はがきを使うのは失礼に当たります。
余寒見舞いは、通常のはがきや専用にデザインされたものを使いましょう。
まとめ
余寒見舞いは、立春を過ぎてから出す挨拶状です。
年賀状や寒中見舞いを貰ったが、期間内に送れなかった場合の返礼や、喪中で年賀状を送れなかった場合の挨拶状などとして使われます。
寒さを見舞う言葉と自分の近況や相手を気遣う言葉などを入れるのが、基本的な構成となります。
デザインは、春の訪れを感じさせるものや、雪など神秘的なイメージのあるものがよく選ばれます。
年賀状や寒中見舞いが間に合わなかった場合や喪中のときなどに、余寒見舞いを送ってみてはいかがでしょうか。