喪中はがきを出す適切な時期とは?投函期間の目安と注意点

喪中はがきを出す適切な時期とは?投函期間の目安と注意点

記事の監修者
市 川  愛 〈いちかわ・あい〉

市川愛

プロフィール
葬儀相談員
2009年に終活を考案し、週刊朝日の連載特集「現代終活事情」で提唱を始める。以後、講演活動、葬儀記事や書籍の執筆などを通して、正しい葬儀情報と終活を広めるための活動に従事している。著書に『4週間で無理なくできる 最初で最後の「これだけ終活」』(PHP研究所直販)など11冊がある。

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身内に不幸があり喪中となった時「喪中はがき」を送ることはご存知かと思いますが、いつまでに投函すれば良いかご存知でしょうか。

このコラムでは「喪中はがきとは?」「喪中はがきを送る時期」や、「喪中はがきを出すのが遅れた場合の対処法」「喪中はがきの購入方法」などを文例と共に紹介します。ぜひ参考にしてみてください。



目次

喪中はがきとは?

「喪中はがき」が持つ本来の意味をご存知でしょうか?
ここでは、喪中はがきがどのようなものかを詳しくご説明いたします。

喪中はがきは、喪中期間の正月に「おめでたい新年のあいさつを控えさせていただくこと」を相手にお知らせするために送る「欠礼状」です。本来は「訃報を知らせる目的」ではないことを知っておきましょう。

喪中の期間は、一般的には一年間とされています。
亡くなった時期が年の前半でも年末でも、翌年の正月は喪中に当たるために喪中はがきを送付します。喪中はがきは基本的に、年賀状を例年送付している人に送ります。

自分が普段年賀状をやり取りしていた方、葬儀に参列いただいた方、故人が年賀状をやり取りしていた方、その他お知らせした方が良いと思われる方などに出しましょう。

親兄弟などの身内へ送る必要はありませんが、遠い親戚などには出しても良いでしょう。迷った際は、儀式を主催する側・招かれる側と分けて考えると良いでしょう。ビジネス上だけのお付き合いなら、個人的には喪中でも喪中はがきは出さず、会社の年賀状を出すのがスマートです。


喪中はがきを送る時期

「喪中はがき」を出すにあたって、最初に気になるのは「喪中はがきを出す期間」ではないでしょうか。
投函の目安についてご説明いたします。


喪中はがき発送の目安

一般的に年賀状の準備を始める前の11月下旬から12月上旬までに、先方に届くように発送するのが望ましいです。
郵便局の年賀状の引受開始は例年12月15日頃からですので、早めに準備を進めるようにしましょう。
以下は参考の文例になります。

【例文】一般的な喪中はがき

喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます

●[続柄]●●[名前] が〇月〇日に〇〇歳で永眠いたしました

本年中に賜りましたご厚情を深謝いたします

みなさまにはどうぞよいお年をお迎えください

令和〇年〇月


喪中はがきの発送が遅れた場合

喪中はがきの発送が12月上旬までに間に合わなかった場合は、「寒中見舞い」を使って欠礼をお詫びします。寒中見舞いは、松の内が明ける1月8日から立春(2月4日頃)までに届くように送る挨拶状です。

立春を過ぎてから出す場合は、春になってもまだ寒さが残っているという意味で「余寒見舞い」となります。

【例文】送付が遅れた場合

寒中お見舞い申し上げます

喪中のため年頭のご挨拶を控えさせていただきました

本来ならば旧年中にお知らせ申し上げるべきところ

年を越してしまいました非礼を深謝いたします

寒さ厳しき折 皆々様のご健勝をお祈り申し上げます

令和〇年〇月


喪中であることを知らない方から年賀状をいただいた場合も「寒中見舞い」のかたちで送付します。
文面で、いただいた「年賀状」について触れる場合は「賀」は祝いの言葉に当たり、避ける必要があるため「年始状」もしくは「年始のご挨拶」と言い換えます。

【例文】年賀状を受け取った場合の文例

寒中お見舞い申し上げます

ご丁寧なお年始状をいただき誠にありがとうございました

昨年喪中のため年頭のご挨拶を控えさせていただきました

暖かな春の訪れまでもう少し

皆様ご自愛くださいますようお祈り申し上げます

令和〇年〇月

【例文】故人宛てに年賀状が届いた場合の文例

寒中お見舞い申し上げます

このたびはご丁寧なお年始状をいただきましてありがとうございました

●[続柄] ●●[名前]は昨年〇月に他界いたしました

ご通知が遅れましたことをお詫び申し上げます

故人が生前に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げますとともに

皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます

令和〇年〇月

12月に亡くなった場合の喪中はがきは?

12月に故人が亡くなった場合は、相手は年賀状の送付手続きをすでに済ませている可能性が高いため、年明けの松の内(1月7日)が過ぎてから、寒中見舞いを送付します。


喪中はがきはいつから購入できる?

喪中はがきは、いつから購入できるのでしょうか。店舗とインターネット、両方の取り扱い窓口を紹介します。

喪中はがきを送る際には、切手部分のデザインに「鳩」が描かれた通常の郵便はがきや、「小鳥」が描かれたインクジェットプリンタ対応の郵便はがきが使用できます。いずれも1枚85円で全国の郵便局で通年販売されており、用途やデザインの好みに応じて選ぶことが可能です。

インターネット上では、「郵便局のプリントサービス」が期間限定で利用できます。喪中はがきの送付期限を過ぎた場合は、「寒中見舞い」を送付するようにしましょう。

「郵便局のプリントサービス」は、カタログやインターネットからさまざまなデザインや文例を選び、印刷・発送が可能です。

市販の私製はがきを利用する場合は、郵便局で「弔事用85円普通切手・菊」を購入して貼付してください。


喪中期間に避けた方が望ましいこと

最後に、喪中期間において避けた方が良いと考えられている行為をいくつかご紹介します。

神道では死は穢れ(けがれ)とされ、穢れは「うつる」ものだと思われていたため、一般的に服喪期間中はお祭りやお祝い事への出席、神社への参拝は控えるべきとされています。神社と異なり、仏教であるお寺は死を穢れとしないため、喪中に参拝することは問題ありません。

また、正月には「あけましておめでとうございます」といった新年の挨拶や、門松やおせちなどで新年を祝うことも避けるようにします。


今回は「喪中はがき」の投函時期や、遅れた場合の対処法について解説しました。喪中はがきの発送は、誰もが経験することの一つです。マナー違反にならないように気を付けたいですが、一番大切なのは故人を偲ぶ遺族の気持ちです。

身内の不幸から立ち直る大変な時期ではありますが、喪中はがきを出すことは家族の務めでもあります。お世話になった方々に、年賀欠礼を連絡するようにしましょう。



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