年賀状の正しい宛名・住所の書き方「連名は間違いが多い」

年賀状の正しい宛名・住所の書き方「連名は間違いが多い」

現代の年賀状は、ほとんどが年賀はがきとして差し出されます。 意外と知られていない年賀はがきの基礎知識とありがちなミスについて解説します。


記事の監修者
中 川  越 〈なかがわ・えつ〉

中川越

プロフィール
1954(昭和29)年 東京品川生まれ。手紙文化研究 、コラムニスト 、イラストレイターとして幅広く活躍。
古今東西、有名無名を問わず、各種手紙に取材し、手紙の在り方、表現の工夫、コミュニケーションの本来について、日々探求を続けている。
中川  越 ホームページ

目次


年賀はがきの基礎知識

はがきは宛名が書かれる面を「表面」または「宛名面」と呼び、挨拶文が書かれる面を「裏面」または「文面」と呼びます。 宛先の住所、氏名、差出人の住所、氏名などを表面に書くことを「表書き」、文面を裏面に書くことを「裏書き」ということもあります。

年賀状の宛先の住所は、都道府県名を省略せずに書くようにします。 なぜなら住所の省略は相手への失礼になるとされているからです。日本語は基本的に縦書きですから、番地などの数字も縦書きの場合は漢数字を使うのが自然です。

親戚や友人などのプライベートな年賀状であれば、住所の後は宛先の氏名を書いて「様」を付ければ完成です。 しかし、ビジネス上の年賀状となると、会社名、部署名、役職などを書かねばならず、書き方としてバランスが重要になってきます。

会社名は住所より頭を少し下げて書くと自然に見えます。 部署や役職は小さめの文字にします。そして宛名の氏名は大きく堂々とはがきの中央に書くようにします。差出人の住所と氏名は小さめの文字で左下に収めます。


間違えやすい敬称と連名の落とし穴

宛名で間違いやすいのは、まず、敬称の扱いです。宛名が単なる氏名であれば「様」を付ければよいのですが、 社長、専務、理事長などの役職を末尾に使用した場合、「山田社長様」、「鈴木専務様」、「佐藤理事長様」と書いてはいけません。
なぜなら役職名にはすでに敬称がこめられているので重複となるからです。正しくは「山田社長」、「鈴木専務」、「佐藤理事長」と書きます。

どうしても「様」を使いたい場合は「代表取締役社長 山田太郎様」のように正式名称で書くようにしましょう。 なお法人名、会社名に対して送る場合は「御中」を使います。

もうひとつ間違えやすいのは、連名の書き方です。宛名の氏名が複数の場合は、それぞれの氏名に敬称を付けなければなりません。 まとめてひとつだけ「様」を付けるのは間違いで、 失礼にあたります。ただし家族宛などで人数が多い場合は「ご一同様」としても構いません。

年賀状・寒中見舞いはがきはいつまでに投函するべき?

年賀郵便特別取扱は、12月15日から受付が始まります。
地域や地方の郵便事情にもよりますが、一般的には12月25日までに投函すると元日に届くと言われています。

一般的に年賀状は元日に届ける事が礼儀とされています。

年賀状が元日に届くように準備したいものですが、師走の忙しい時期はどうしてもバタバタしてしまうものです。そんな時は、郵便局のプリントサービスを利用してお手軽に準備しましょう。

また、年賀状の宛名書きも手間と時間がかかる作業です。宛名印刷サービスも併せて利用するととても便利でおすすめです。


自身で宛名書きする場合の注意点

一般的にはボールペンで年賀状を書くことはよくないとされています。理由としては、新年のお祝い事の際にはボールペンのような細い字で書くよりは毛筆などのような太くて力強い字の方が受け取った側の印象がよいと言われているためです。

しかし、年賀状を大量に送る人も多いので、一枚一枚に毛筆で書くことは時間がかかってしまうでしょう。そのため、筆ペンやサインペンなど太い文字で書くことができるペンを代用して年賀状を書く人が増えています。

宛名を書く際も毛筆や筆ペンなどなるべく字が太くなるものを選ぶようにしましょう。万年筆で書くことも推奨されています。宛先が消えてしまう可能性がある消えるボールペンや、鉛筆で書くのは絶対にやめましょう。


元日に届くようにポスト投函できなかった場合

昔は1月2日の「書き初め」に年賀状を書いていたと言われ、松の内(1月7日)までに届けば失礼にはあたらないでしょう。

お相手に1月7日までに届くよう投函できない場合は寒中見舞いはがきをご利用するとよいでしょう。
寒中見舞いはがきは、年賀状への返礼や喪中はがきを出せなかった方への年賀欠礼のご挨拶にもご利用いただけます。

元日に届けるのが難しいので年賀状を出すことを断念しようという思いがよぎる方もいるかと思いますが、「今年はあの人から年賀状が届かなかったな。どうかしたのかな?」と心配させてしまったといケースもありますので、忘れずに出すようにしましょう。

喪中欠礼を送る時の連名のマナー

喪中欠礼を送る際に夫婦の連名で送ることがあります。その際は故人の続柄の表記に注意しましょう。 一般的には夫からの視点で続柄を表記します。例えば妻側の母親が亡くなった場合は「義母」と表記しましょう。

夫側の父親が亡くなった場合はそのまま「父」と表記します。 ちなみに喪中欠礼は個人として送っても、夫婦で送っても特に問題はありません。喪中はがきに描かれた花には、故人を偲ぶ意味が込められています。花言葉から喪中はがきを選ぶのもよいでしょう。

また、故人が好きだった趣味を喪中はがきにのせて、故人の思いも伝えるのはとても素敵ですね。詳細はこちらのページをご覧ください。


年賀はがきを書き損じた場合

年賀はがきを書き損じた場合、面倒でも新しいはがきに書きなおすようにしましょう。
修正テープを使ったり、線で消して訂正したりするのは見苦しいですし、 年賀状は改まった思いを礼儀正しく伝えるものですから、失礼にあたります。年賀状を受け取った人が清新な気持ちになれるような美しい年賀状を書き上げるように心掛けましょう。

また、書き損じは手数料を支払い新しい年賀はがきに交換することができます。手数料6円で交換可能で、喪中なら無料で交換できます。

書き損じをしてしまったはがきは年賀はがきにかぎらず手数料6円を支払うことで新品のはがきへの交換が可能です。名前や住所を間違えてしまったり、プリントミスをしてしまったりした場合、 はがきを汚してしまった場合などは郵便局に持って行き、新品に交換しましょう。

また、11月に年賀はがきを購入したものの、急に身内が亡くなり年賀状を出すことができなくなってしまったという場合には、郵便局の窓口で服喪であることを伝えれば、無料で切手または別のはがきに交換してもらえます。

ただし、無料で交換できる期間は年賀はがきの販売期間中までですので、その期間を過ぎてから交換をすることはできません。期間に注意しましょう。

また、年賀はがきの多くは交換できますが、中には交換できないものもあります。

例えば、料額印面が著しく汚れているものがこれに該当します。料額印面とは、はがきの表面に書かれている切手に類似した絵柄のことを指します。
この部分が汚れている場合は、未使用の年賀はがきであっても交換できません。


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