【文例でわかる】喪中の寒中見舞いマナー|状況別の書き方と時期を徹底解説

知人や友人に喪中の方がいる、またはご自身が喪中の際、どのように挨拶状を出せばよいのか、迷っている方も多いのではないでしょうか。「寒中見舞いを出したいけれど、いつまでに出せばいいの?」「喪中はがきへの返信はどう書くのが正しい?」「年賀はがきが余っているけど使ってもいい?」など、状況によって悩みはさまざまでしょう。そこで本記事では、伝統的なマナーに基づき、喪中に関する寒中見舞いの疑問に対して、ご自身の状況に応じて必要な知識が深く理解できるよう、一つ一つ分かりやすくお答えします。文例を交えながら網羅的に解説していますので、相手への気遣いが伝わる寒中見舞いを準備するために、ぜひ最後までご覧ください。
1. 喪中の寒中見舞いで失敗しないための基本マナー
喪中における寒中見舞いは、通常とは異なる配慮が必要です。ここでは「時期」「はがきや切手の選び方」「言葉のルール」という3つの重要なポイントに分けて、分かりやすく解説していきます。相手に失礼のないよう、まずは基本的なマナーをしっかりと押さえていきましょう。
1-1. 寒中見舞いを出す時期と目的
寒中見舞いを送る時期は「松の内」が明けてから「立春」までとされています。
「松の内」とは、お正月の門松を飾っておく期間のことで、一般的に関東では1月7日まで、関西では1月15日までとされています。この松の内が明けた日から、暦の上で春が始まる「立春」(例年2月4日頃)の前日までに届くように送りましょう。
もし立春を過ぎてしまった場合は「寒中見舞い」ではなく「余寒見舞い」として出します。こちらは、まだ寒さが残る時期に相手を気遣う挨拶状で、2月下旬頃までに出すのが一般的です。
喪中における寒中見舞いは、主に以下のような目的で送られます。
- 年賀状の代わりとなる年始の挨拶
- 相手から届いた喪中はがきへの返信
- 喪中と知らずに年賀状を出してしまった際のお詫び
- 自分が喪中で年賀状をくれた方への返信
このように、寒中見舞いは喪中の期間でも安心して使える、大切なコミュニケーションの役割を担っています。
1-2. はがき・切手・デザインの正しい選び方
寒中見舞いを送る際は、はがきや切手の選び方にもマナーがあります。
まず、年賀はがきを使用するのは避けましょう。年賀はがきは、新年を祝うためのものであり「賀」という文字が入っているため、喪中の場面にはふさわしくありません。未使用の年賀はがきが手元にある場合は、郵便局で通常のはがきや切手に交換してもらうとよいでしょう。寒中見舞いでは、私製はがきか、郵便局で販売されている通常はがき(胡蝶蘭のデザインなど)を使用します。
切手は、弔事用の切手を使う必要はありません。ご遺族に不幸があったことを思い出させてしまう可能性があるため、通常の普通切手を選ぶのが一般的です。ただし、お祝い事を連想させる記念切手など、華やかなデザインの切手は避けるのが賢明です。
はがきのデザインは、派手な色合いや干支のイラストが入ったものを避け、冬の静けさを感じさせる落ち着いたデザインを選びましょう。例えば、雪の結晶、椿、水仙、梅など、冬から早春にかけての季節感ある絵柄が好まれます。
1-3. 書く前に押さえておくべき言葉のルール
寒中見舞いを書く際には、特有の言葉のルールがあります。相手への配慮を示すためにも、以下の点を必ず確認しましょう。
第一のルールは「賀詞」を使わないことです。賀詞とは「謹賀新年」や「あけましておめでとうございます」といった新年を祝う言葉全般を指します。喪中の挨拶状では、これらの言葉は一切使用しません。
第二に、句読点(「、」や「。」)は使わないのが伝統的なマナーとされています。これは、古くは毛筆で手紙を書いていた名残で「お祝い事が途切れないように」という願いが込められていたことに由来します。現代では、必ずしも厳格に定められているわけではありませんが、特に目上の方へ送る場合は、注意が必要です。句読点を使わず、代わりに空白(スペース)を空けるなどして読みやすいよう配慮をすると、より丁寧な印象となります。
最後に「忌み言葉」や「重ね言葉」は、避けるようにしましょう。忌み言葉とは「死」や「苦」を連想させる直接的な表現です。また「ますます」「くれぐれも」などの重ね言葉は、不幸が重なることを連想させるため、使用は控えるのがマナーです。
2. 【文例集】相手が喪中の場合|状況別の書き方
相手が喪中の際に寒中見舞いを送るケースでは、主に2つの状況が考えられます。ここからは、それぞれの状況に合わせた書き方のポイントや、すぐに使える文例をご紹介します。相手の心に寄り添うような、温かいメッセージを届けましょう。
2-1. 【状況その1】喪中はがきへの返信を送る
喪中はがきを受け取ったら、年賀状を出すのは控えるのがマナーです。その代わりに、寒中見舞いでお悔やみと励ましの気持ちを伝えましょう。
構成としては、はじめに時候の挨拶を述べ、次に喪中はがきをいただいたことに対するお礼と、故人を偲び、ご遺族を気遣う言葉を続けます。そして、相手の健康を気遣う言葉で締めます。
【目上の方への文例】
寒中お見舞い申し上げます
ご服喪中のことと存じ 年頭のご挨拶は控えさせていただきました
ご丁寧なご挨拶状をいただき ありがとうございました
〇〇様がご逝去されてから寂しい毎日をお過ごしのこととお察しいたします
ご家族の皆様のお悲しみもいかばかりかと胸が痛みます
寒い日が続きますので どうぞお体を大切にお過ごしください
【親しい友人への文例】
寒中見舞い申し上げます
ご丁寧な挨拶状をどうもありがとう
〇〇様が亡くなられてから もうどのくらい経ちましたか
まだまだつらい時期だと思いますが 無理しないでね
落ち着いたらまたお茶でも飲みながらお話ししましょう
厳しい寒さが続きますので 皆様どうかご自愛ください
2-2. 【状況その2】喪中と知らずに年賀状を出したお詫び
喪中であることを知らず、年賀状を送ってしまった場合は、できるだけ早く寒中見舞いを送り、お詫びの気持ちを伝えましょう。相手からの連絡で知った場合も同様です。
はじめに、喪中と知らずに年賀状を送ってしまったことに対し、非礼を詫びる言葉を明確に記します。その上で、改めて故人へのお悔やみの言葉と、ご遺族へのいたわりの言葉を伝えます。
【丁寧な文例】
寒中お見舞い申し上げます
この度は 〇〇様ご逝去のこと 少しも存じ上げず
年始のご挨拶を申し上げてしまい 大変失礼いたしました
お悔やみ申し上げますとともに 〇〇様のご冥福を心よりお祈り申し上げます
ご家族の皆様におかれましては どうかお力落としのことのないようご自愛ください
【簡潔な文例】
寒中お見舞い申し上げます
〇〇様のご喪中とは存じ上げず 年賀状を差し上げましたこと 深くお詫び申し上げます
遅ればせながら 謹んでお悔やみ申し上げます
寒い日が続きますので 皆様どうぞご自愛ください
3. 【文例集】自分が喪中の場合|状況別の書き方

ご自身が喪中の場合にも、寒中見舞いは年始の挨拶状として大切な役割を果たします。年賀状をいただいた方への返信や、喪中はがきを出しそびれた方への報告など、状況に合わせた書き方と文例を見ていきましょう。
3-1. 【状況その3】年賀状をいただいた方への返信
喪中、年賀状を出していない相手から年賀状が届いた場合は、寒中見舞いで返します。
ポイントは、まず年賀状をいただいたことへのお礼を伝えることです。その上で、喪中であったために、年始のご挨拶を控えさせていただいたことを簡潔に報告します。相手に余計な気を遣わせないよう、お悔やみの言葉を求めるような内容は避け、平穏な新年を願う言葉で締めくくると良いでしょう。
【一般的な文例】
寒中お見舞い申し上げます
ご丁寧な年始のご挨拶をいただき ありがとうございました
昨年〇月に父〇〇が永眠いたしましたので
年末年始のご挨拶を控えさせていただきました
本年も変わらぬお付き合いのほど どうぞよろしくお願い申し上げます
【簡潔な文例】
寒中お見舞い申し上げます
お心のこもった年賀状をありがとうございました
服喪中のため 年頭のご挨拶は失礼させていただきました
寒い日が続きますが どうぞご自愛の上お過ごしください
3-2. 【状況その4】喪中はがきを出しそびれた方への報告
年末近くにご不幸があったなどの理由から、喪中はがきの準備が間に合わなかった場合にも、寒中見舞いで報告とお詫びをすることができます。
この場合、まずは時候の挨拶をし、続けて喪中の報告が遅れたことへのお詫びを述べます。そして、誰がいつ亡くなったのかを簡潔に記し、年始の挨拶を控えさせていただいた旨を伝えます。最後に、相手の健康を気遣う言葉で締めます。
【年末に不幸があった場合の文例】
寒中お見舞い申し上げます
皆様にはお健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます
昨年十二月に母〇〇が九十歳にて永眠いたしました
ご通知が遅れましたことをお詫び申し上げますとともに
年始のご挨拶を失礼させていただきましたご無礼を何卒ご容赦ください
本年も相変わりませず どうぞよろしくお願い申し上げます
【喪中はがきを出し忘れた相手への文例】
寒中お見舞い申し上げます
厳しい寒さが続いておりますが お変わりなくお過ごしでしょうか
昨年〇月に祖父〇〇が他界いたしましたので
年末年始のご挨拶は控えさせていただきました
ご連絡が遅くなり 大変申し訳ございません
本年もどうぞよろしくお願いいたします
4. 相手への心遣いをより深く伝えるためのポイント

基本マナーや定型文を押さえることは大切ですが、そこにあなた自身の言葉で一言添えることで、より温かく、心のこもった挨拶状となります。ここでは、相手との関係性に合わせて気持ちを伝えるためのポイントを2つご紹介します。
4-1. 関係性に応じて添える、気の利いた一言
定型文だけでは、少々事務的な印象となってしまうこともあります。親しい間柄の方へは、相手の状況を思いやる一言を加えてみましょう。
例えば、相手やご家族の健康を気遣う言葉は、どのような関係性でも喜ばれます。
「厳しい寒さが続きますので ご無理なさらないでくださいね」
「ご家族の皆様も どうぞお体を大切にお過ごしください」
また、故人との思い出に触れる場合は、相手の悲しみを深くしないよう配慮が必要です。長々と書くのではなく、心温まる短いエピソードを添える程度にとどめましょう。
「〇〇様の優しい笑顔が今も目に浮かびます」
「昨年お会いした時の 〇〇様のお元気な姿を思い出しております」
こうした一言があるだけで、はがきを受け取った相手の心へ、相手を思う優しさがより深く届くでしょう。
4-2. 故人との関係性で変わる表現の選び方
お悔やみの言葉は、あなたと故人との関係性により、表現を使い分けるのが望ましいです。
故人と面識があり、親しい間柄だった場合は、具体的な思い出に触れることで、ご遺族の心に寄り添う気持ちが伝わりやすくなります。
「〇〇様には生前大変お世話になりました 今でも信じられない気持ちです」
「〇〇様とご一緒させていただいた旅行の思い出は 私の宝物です」
一方、故人と面識がない場合は、ご遺族である相手の気持ちをおもんぱかる言葉が適切です。
「ご家族の皆様のお悲しみはいかばかりかとお察しいたします」
「さぞお力落としのことと存じますが どうかご無理なさらないでください」
いずれの場合ももっとも大切なのは、相手の悲しみに静かに寄り添い、いたわる気持ちを表現することです。形式にとらわれすぎず、あなたの心からの言葉で伝えましょう。
まとめ
本記事では喪中の寒中見舞いについて、守るべき基本マナーから、4つの異なる状況に応じた書き方と文例まで、詳しく解説しました。
多くの決まり事があり、難しく感じるかもしれませんが、その根底にあるのは「相手を気遣う心」です。ご自身の状況に合った文例とマナーの基本を押さえれば、対応に間違うことはありません。喪中の相手には、静かに寄り添う気持ちを、そしてご自身が喪中の際には、心を寄せてくれた方へ感謝の気持ちを伝えることがもっとも大切です。
ぜひ、本記事でご紹介した内容を参考に、喪中の寒中見舞いに関する不安を解消し、適切な形で大切な方へ気持ちを伝えましょう。
記事の監修者

.a Career代表
国家資格キャリアコンサルタント/ワークプレイスハラスメントカウンセラー/研修講師。
医療・航空・行政で培った経験を活かし、品格ある接遇やビジネスマナー、書面での礼節(年賀状・挨拶状・ビジネス文書など)に関する研修を実施。組織の信頼と品質向上を支援し、企業研修や講演でも高い評価を得ている。



