年賀状を取引先に送る場合の文例やビジネス関連のマナーとは

2024.10.29

親戚や友人へ送る年賀状と、仕事関係の方に送る年賀状とでの方に守るべきマナーが異なります。
ここでは、ビジネスでお世話になった人や取引先に年賀状を送る際の文例やマナーについてご説明します。かしこまった年賀状の書き方でお悩みの方は参考にしてください。

記事の監修者
中川越〈なかがわ・えつ〉

プロフィール
1954（昭和29）年東京品川生まれ。手紙文化研究、コラムニスト、イラストレイターとして幅広く活躍。
古今東西、有名無名を問わず、各種手紙に取材し、手紙の在り方、表現の工夫、コミュニケーションの本来について、日々探求を続けている。
中川越ホームページ

年賀状を取引先に送る場合に気を付けるべきマナー
＞1文字や2文字の賀詞は使用しない
＞忌み言葉は避ける
＞元日に届くように手配する
取引先向けの宛名の書き方
＞住所や企業名は省略しない
＞部署名や役職名は正確に書く
年賀状を取引先に送る場合の文例
＞本文（挨拶文）の文例
＞添え書きの文例
まとめ

年賀状を取引先に送る場合に気を付けるべきマナー

取引先へ年賀状を送る際は、次のマナーに注意しましょう。

1文字や2文字の賀詞は使用しない

取引先に年賀状を送るときに、漢字1文字や2文字の賀詞を使ってはいけません。

賀詞とは、年賀状の冒頭に用いられる新年のお祝いを表す言葉のことを指します。
「寿」「新春」「賀正」といった漢字1文字や2文字の賀詞は、お祝いや新年の喜びを表現する意味しか込められておらず、取引先や目上の人へ送る挨拶状としては不適切です。

取引先に送る年賀状では、「謹」「恭」「敬」「頌」などの、相手に対する敬意と丁寧な気持ちを表現する語を含んだ「漢字4文字の賀詞」や「文章の賀詞」を使用しましょう。

・漢字4文字の賀詞の例

謹賀新年（きんがしんねん）：謹んで新年をお祝い申し上げます
謹賀新春（きんがしんしゅん）：謹んで新しい年をお祝い申し上げます
恭賀新年（きょうがしんねん）：うやうやしく新年をお祝い申し上げます

・文章の賀詞の例

謹んで新年のお慶びを申し上げます
謹んで年頭のご祝詞を申し上げます
謹んで年始のご挨拶を申し述べます

また、賀詞の重複にも注意してください。「謹賀新年」という賀詞を使用しながら、添え書きで「あけましておめでとうございます」などと書くと、賀詞の重複になってしまいます。
賀詞が年賀状に前もって印刷されている場合は、書かないようにしましょう。

忌み言葉は避ける

忌み言葉とは、縁起の悪さを連想させる意味を持っており、年賀状のようなお祝いの挨拶での使用を避ける言葉です。

例えば「去年」という言葉が忌み言葉に該当します。「去る」という字が別れを連想させるため、年賀状では「昨年」「旧年」などと表記するのが一般的です。
その他に、「枯れる」「衰える」「破れる」「失う」「倒れる」「滅びる」など、死や別れをイメージさせる言葉は、お祝いの挨拶にはふさわしくないとされています。

また直接的な忌み言葉でなくとも、体調を崩す、仕事がうまくいかない、などのネガティブな話題も避けた方がよいでしょう。

元日に届くように手配する

年賀状は、元日に届くように手配するのが礼儀です。

もし元日に届けるのが難しい場合は、日付に元日ではなく「正月」「一月」などを使用します。

取引先向けの宛名の書き方

ここでは、取引先向けの年賀状の宛名の書き方を見ていきましょう。

住所や企業名は省略しない

年賀状などの正式な挨拶状で住所や企業名を省略するのは、失礼です。どれだけ長くなったとしても正式名称をすべて記載するようにしましょう。

企業ホームページで「株式会社」の部分が（株）と表記されていたり、ビル名が省略されていたりしても、年賀状では正式名称を記載してください。都道府県は基本的に省略しても届きますが、同様に省略しないで書くのがマナーです。

なお、住所に含まれる数字は、縦書きの場合は漢数字、横書きの場合は算用数字を用いるのが原則です。縦書きで算用数字を用いる場合は、算用数字の部分だけ横書きにしましょう。

部署名や役職名は正確に書く

部署名や役職名も、省略したり通称にしたりせず、正確に記入しましょう。

また、宛名の敬称は誰に届けたいかによって変わります。会社や組織そのものに届けたい場合は「御中」、会社や部署全員に届けたい場合は「御一同様」、取引先の担当者など個人に届けたい場合は「様」を使いましょう。

なお、取引先への年賀状は、会社や部署全体に宛てるよりも、担当者個人に宛てて出すのが望ましいとされています。
同じ会社内に年賀状を送りたい相手が複数名いる場合も、できれば個人宛てに別々の添え書きをしたものを送った方が相手にも喜ばれるでしょう。