退職挨拶状の書き方完全ガイド|基本マナーから文例集まで徹底解説

退職するにあたり、お世話になった方々へ感謝の気持ちを伝える挨拶状。しかし、いざ準備を始めてみると「いつまでに出せばいいの?」「誰に、どんな内容で書けば失礼にならない?」「そもそも、はがきと封書のどちらがいいのだろう?」など、さまざまな疑問が浮かんでくる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、退職挨拶状に関するマナーや書き方について、分かりやすく丁寧に解説します。挨拶状を出す前の準備から、基本の構成に沿った書き方のステップ、さまざまな状況で使える文例まで、本記事で全て網羅していただけるはずです。退職挨拶状に関する疑問を解消し、お世話になった方々への挨拶状を通して、ご自身の言葉で感謝が伝えられるよう、ぜひ最後までご覧ください。
1. まず押さえておきたい!退職挨拶状の3つの基本マナー
退職挨拶状を準備する際、はじめに知っておきたい基本的なマナーがあります。それは「出すタイミング」「送る相手の範囲」「形式の選び方」の3つです。これらの基本マナーを押さえておくことで、相手に失礼な印象を与えることなく、スムーズに準備を進められるでしょう。
1-1. 【送るタイミング】いつまでに出すべき?
退職挨拶状は、お世話になった方へ感謝の気持ちと、自身が退職したことを報告するものです。そのため、送るタイミングは非常に重要となります。
一般的には、退職してから1カ月以内で、相手の手元に届くように送りましょう。あまり早く出しすぎると、在職中に届いてしまい、社内外で混乱を招く可能性があります。反対に、退職から時間が経ちすぎても、相手への報告が遅れたことになり、失礼にあたる場合があります。
もし、引越しなど諸事情で準備が遅れ、退職から1カ月を過ぎてしまった場合は、挨拶状にお詫びの一言を添えるのがマナーです。
<文例>
本来であれば、すぐにご挨拶を申し上げるべきところ、諸事情によりご連絡が遅れましたこと、深くお詫び申し上げます。
1-2. 【送る相手】誰の範囲まで出すべき?
挨拶状を送る範囲にも悩むのではないでしょうか。明確な決まりはありませんが「在職中にお世話になった方々」へ送るのが一般的です。それでは、関係性を社外と社内に分けて、リストアップのコツを見ていきましょう。
社外(取引先など)
社外の場合は、特に親しくしていた担当者や、お世話になった取引先の方々へ送りましょう。今後も関係を続けたいと思う方へはもちろん、退職の報告が伝わっていない可能性のある方へも送ると丁寧です。
社内(上司・同僚など)
社内では、お世話になった上司や先輩、同僚などが対象となります。特に、退職後もつながりを大切にしたいと思う方には、ぜひとも送りましょう。
送る相手を選ぶ際は、名刺を整理したり、過去のメールのやり取りを見返したりすると、リストアップしやすくなります。感謝を伝えたい相手を一人ひとり思い浮かべながら、丁寧にリストを作成してみましょう。
1-3. 【形式】はがき・封書・メールの使い分け
挨拶状の形式は、主に「はがき」「封書(手紙)」「メール」の3種類があります。それぞれに特徴があるため、相手との関係性や状況によって使い分けるのが良いでしょう。
はがき
「はがき」は、手軽かつ一般的な形式です。多くの人へ送る場合に適していますが、封書に比べると、少し略式な印象を与えることもあります。
封書(手紙)
「封書」は3種類において、もっとも丁寧な形式です。目上の方や、特にお世話になった方へ送る際に適しています。二重封筒を使用すると、よりフォーマルな印象となります。
メール
現代のビジネスシーンにおいて、退職の挨拶は「メール」で行うのが主流です。近年、在宅勤務や多拠点での勤務、オンラインでの取引が増えています。そのような中、メールでのご挨拶は、迅速かつ現実的であり、十分に礼儀正しい手段として定着しています。 社内・社外(取引先)を問わず、最終出社日などに一斉送信で感謝を伝えることが一般的です。このように、メールでの挨拶が広く用いられているからこそ、形式よりも文面に込められた誠実さや、感謝の気持ちがより重視されるといえるでしょう。
2. この順番で書けば失敗しない!挨拶状の基本構成と5つのステップ
退職挨拶状には、基本的な構成(型)があります。この流れに沿って書いていけば、正しいマナーを守りつつ、伝えたい内容をきちんと盛り込むことができます。ここでは、5つのステップに分けて、書き方のポイントをそれぞれ解説していきます。
2-1. ステップ①:頭語・結語と時候の挨拶
手紙やはがきなど、改まった文章では、文章の始めに「頭語(とうご)」終わりに「結語(けつご)」を用います。これは、手紙における「こんにちは」「さようなら」のような、挨拶に当たる言葉です。
一般的によく使われるのは「拝啓(はいけい)」と「敬具(けいぐ)」の組み合わせです。より丁寧な表現にしたい場合は「謹啓(きんけい)」と「謹白(きんぱく)」を使います。ただし、必ずセットで使うのがルールのため、組み合わせを間違えないよう注意しましょう。
また、頭語の後には、季節感を表す「時候(じこう)の挨拶」を記します。送る時期に合わせた言葉を選ぶことにより、文章に彩りを添えることができます。
1⽉(睦⽉)
- 初春の候
- 厳寒の折
- 新春の候
- 寒気ことのほか厳しき折
2⽉(如⽉)
- 向春の候
- 余寒なお厳しき折
- 梅花の⾹り漂う頃
- 春待ち遠しい季節となりました
3⽉(弥⽣)
- 早春の候
- 春暖の候
- ⽇差しに春の気配を感じる頃
- 桃の節句の季節となりました
4⽉(卯⽉)
- 陽春の候
- 桜花爛漫の折
- 花の便りに⼼華やぐ季節となりました
- 新緑萌ゆる好季節となりました
5⽉(皐⽉)
- 新緑の候
- 薫⾵の候
- 若葉の⾹りがさわやかな季節となりました
- 初夏の訪れを感じる今⽇この頃
6⽉(⽔無⽉)
- 初夏の候
- 向暑の候
- 紫陽花の花が美しく咲く頃
- 梅⾬の候
7⽉(⽂⽉)
- 盛夏の候
- 炎暑の候
- 夏空のまぶしい季節となりました
- 蝉しぐれの響く頃
8⽉(葉⽉)
- 晩夏の候
- 残暑の候
- 暑さ厳しき折
- ⽴秋とは名ばかりの暑さが続いております
9⽉(⻑⽉)
- 初秋の候
- 新涼の候
- 秋⾊深まる今⽇この頃
- 実りの秋を迎えました
10⽉(神無⽉)
- 秋冷の候
- 紅葉の候
- 秋晴れの空が⼼地よい季節となりました
- 朝⼣めっきり涼しくなりました
11⽉(霜⽉)
- 晩秋の候
- ⽴冬の候
- ⽊々の葉が⾊づく頃
- 冬の⾜⾳が近づいてまいりました
12⽉(師⾛)
- 初冬の候
- 師⾛の候
- 寒冷の候
- 年の瀬を迎え、慌ただしい季節となりました
2-2. ステップ②:退職の報告と理由の伝え方
時候の挨拶の次は、いよいよ本文に入ります。まずは、退職したことを明確に報告しましょう。このとき、詳細な日付(例:〇月〇日をもちまして)を入れると、より分かりやすくなります。
退職理由については、詳しく書く必要はありません。自己都合の場合は「一身上の都合により」と記すのが一般的です。定年退職の場合は「〇月〇日をもちまして定年を迎え」と書き、会社都合の場合でも「弊社退職に伴い」など、当たり障りのない表現にとどめるのがマナーです。
<文例>
私儀、このたび⼀⾝上の都合により、株式会社〇〇を退職いたしました。
このたび⼀⾝上の都合により、株式会社〇〇を退職いたしました。
2-3. ステップ③:本文の要となる感謝の言葉
感謝の言葉は、挨拶状でもっとも大切な部分です。ご自身の言葉で、在職中にお世話になったことへの感謝の気持ちを伝えましょう。
「在職中は公私にわたり大変お世話になり、誠にありがとうございました」といった基本的な感謝の言葉に加え、相手との思い出に残っている具体的なエピソードを添えると、より心のこもった挨拶状となります。ただし、長くなりすぎないよう、簡潔にまとめることを心がけましょう。
2-4. ステップ④:今後の連絡先や抱負について
今後の連絡先(住所、電話番号、メールアドレスなど)を記載するかどうかは、任意です。退職後も親しいお付き合いを続けたいと願う相手には、記載しておくと良いでしょう。
なお、連絡先を記した後は、今後の展望や抱負を前向きな言葉で締めくくると、受け取った相手も気持ちよく送り出せるはずです。
<文例>
今後は〇〇の道に進むこととなりますが、ここで得た貴重な経験を糧に、さらに精進していく所存です。
退職後はしばらく休養し、新たな気持ちで第二の人生を歩んでまいりたいと存じます。
2-5. ステップ⑤:結びの挨拶と日付・署名
最後に、相手の今後の活躍や会社の発展を祈る「結びの挨拶」で文章を締めくくります。このとき、ステップ①で用いた頭語に対応する「結語」を忘れずに記載しましょう。
また、後付けとして、挨拶状を書いた「年月日」、ご自身の「住所」と「氏名」を記載します。日付は退職日ではなく、投函する日付を書きましょう。
<文例>
末筆ではございますが、皆様の今後のご健勝と、株式会社〇〇の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
令和〇年〇月〇日
〇〇〇(住所)
〇〇〇(氏名)
3. 【状況・相手別】そのまま使える退職挨拶状の文例集

ここでは、退職の理由や、送る相手に応じた挨拶状の文例をご紹介します。ご自身の状況に合わせて、言葉を調整しながら活用してみてください。
3-1. 【定年退職】長年の勤続への感謝を伝える文例
長年の勤務を無事に終えた安堵感と、支えてくれた周囲への深い感謝が伝わるような、丁寧で落ち着いた文章がふさわしいでしょう。
<文例>
拝啓
〇〇の候 皆様におかれましては
ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて 私儀
このたび 〇月〇日をもちまして
株式会社〇〇を定年退職いたしました。
在職中は公私にわたり温かいご指導ご厚情を賜り、
おかげさまで無事に大過なく勤め上げることが
できました。心より厚く御礼申し上げます。
今後は健康に留意し、穏やかな日々を
過ごしてまいりたいと存じます。
末筆ではございますが、皆様の今後のご健勝と
ご活躍を心よりお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもちまして
御礼かたがたご挨拶申し上げます。
敬具
3-2. 【自己都合退職(転職など)】前向きな姿勢を伝える文例
転職など、新たなステージへ進むために退職する場合は、在職中の学びや経験への感謝と、未来に向けた前向きな姿勢を伝えることが大切です。円満な退職であったことを印象づける文章を心がけましょう。
<文例>
拝啓
〇〇の候 皆様におかれましては
ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて 私こと
このたび 一身上の都合により
〇月〇日をもって株式会社〇〇を
退職いたしました。
在職中は格別のご厚情を賜り、
厚く御礼申し上げます。
末筆ではございますが、
皆様の今後のご健勝とご多幸を
心よりお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます。
敬具
3-3. 【寿退社】結婚の報告を兼ねる、丁寧で明るい文例
結婚による退職は、おめでたい報告も兼ねています。感謝の気持ちとともに、新しい生活への希望が伝わるような、明るく丁寧な言葉を選ぶと良いでしょう。ただし、プライベートな内容であるため、相手への配慮を忘れず、簡潔に報告するのがスマートです。
<文例>
拝啓
〇〇の候 皆様におかれましては益々ご健勝のことと
お慶び申し上げます。
さて 私こと
このたび一身上の都合により 〇月〇日をもちまして
株式会社〇〇を円満に退社いたしました。
在職中は格別のご厚情を賜り 厚く御礼申し上げます。
皆様のおかげで得られました貴重な経験を今後の人生に
活かしていきたいと存じます。
末筆ではございますが 皆様の今後のご健勝とご多幸を
心よりお祈り申し上げます。
敬具
3-4. 【社外向け/社内向け】で変わる書き方のポイント
退職挨拶状は、送る相手によって少し内容を変えると、より気持ちが伝わるでしょう。
社外(取引先)向け
社外の方へ送る場合は、後任者を紹介し、引き継ぎが円滑に行われていることを伝えられるよう、一文を入れると相手に安心感を与えることができます。このように、今後の取引に支障がないことを示す配慮が大切です。
社内(上司・同僚)向け
社内の親しい方へ送る場合は、軽く個人的な思い出に触れるのも良いでしょう。「〇〇のプロジェクトでは、チーム一丸となって目標を達成できたことが忘れられません」のように、共に過ごした時間への感謝を具体的に示すと、より温かみのある挨拶状となります。
4. ワンランク上の感謝を伝えるための応用テクニック
最後に、基本的なマナーに加えて、さらに丁寧に気持ちを伝えるためのテクニックを2つご紹介します。少しの工夫で、あなたの感謝の気持ちがより深く相手に伝わるはずです。
4-1. 印刷に「手書きの一言」を添える効果と文例
挨拶状を印刷で準備した場合も、最後に手書きで一言添えることを強くおすすめします。手書きの文字には、印刷された文字にはない温かみがあり、相手を大切に想う気持ちがより伝わります。
相手との関係性や思い出に合わせ、短いメッセージを添えるだけで、あなただけの特別な挨拶状となるでしょう。
<文例>
〇〇様には、入社当初から温かくご指導いただき、本当にありがとうございました。
先日の送別会では、楽しいひとときをありがとうございました。
また近いうちにお食事でもご一緒できましたら幸いです。
4-2. 意外と知らない封筒の選び方・宛名の書き方
挨拶状の内容のみならず、封筒の選び方や宛名の書き方にも、マナーがあります。
封筒の選び方
封書で送る場合、封筒は「白無地の和封筒」がもっとも丁寧です。特に、中が透けない二重封筒は、よりフォーマルな場面に適しています。
宛名の書き方
宛名は、楷書で丁寧に書き、会社名・部署名・役職・氏名を正確に記載します。また、敬称の使い分けにも注意が必要です。個人宛ての場合は「様」を、恩師や医師といった特定の職業の方には「先生」を用いることもあります。部署全体に宛てる場合は「〇〇部御中」と記します。
細かい部分ですが、こうした配慮が丁寧な印象を与え、あなたの人柄を伝えてくれるでしょう。
まとめ
退職挨拶状について、基本的なマナーから書き方のステップ、そして具体的な文例までを解説しました。大切なのは、基本的なマナーをきちんと守り、基本構成に沿って、ご自身の言葉で感謝を伝えることです。退職は、キャリアにおける一つの大きな節目です。お世話になった方々へ、礼儀を尽くした挨拶状を送ることは、あなたの社会人としての信頼をより確かなものにし、円満な関係を未来へとつないでいくための大切なステップとなります。ぜひ本記事を参考に、これまでお世話になった方々へ、あなたの心からの感謝と誠意が伝わる挨拶状を作成してください。あなたの新たな門出が素晴らしいものになることを、心よりお祈りしております。
記事の監修者

.a Career代表
国家資格キャリアコンサルタント/ワークプレイスハラスメントカウンセラー/研修講師。
医療・航空・行政で培った経験を活かし、品格ある接遇やビジネスマナー、書面での礼節(年賀状・挨拶状・ビジネス文書など)に関する研修を実施。組織の信頼と品質向上を支援し、企業研修や講演でも高い評価を得ている。


