【文例集つき】義両親への年賀状、今さら聞けない基本マナーと書き方の完全ガイド

「義両親に失礼がないようにしたい」「基本的なマナーは合っているだろうか?」と、結婚して初めての年賀状をいざ書こうとするとペンが止まってしまうことはありませんか。普段は気軽に話せる間柄でも新年のはじまりの挨拶だからこそ、きちんと気持ちを伝えたいものです。
この記事では、まず押さえておきたい伝統的な基本マナーをしっかりと解説します。その上で、現代の家族の形に合わせた、気持ちが伝わる一言のヒントもご紹介します。
この記事で紹介するマナーや文例は、あくまで相手を敬う気持ちを形にするための一つの指針です。一番大切なのは、あなたの言葉で感謝を伝えることです。この記事が、あなたらしい年賀状作りのお役に立てれば幸いです。
1. まずは基本から。義両親への年賀状、出すのがマナー?
新年のはじまりのご挨拶である年賀状は、日頃なかなか伝えられない感謝の気持ちを形にする絶好の機会です。まずは、義両親への年賀状に関する基本的なマナーについて確認していきましょう。
1-1. 義両親への年賀状は出すべき?
結論からいうと、義両親への年賀状は出すのが基本的なマナーです。たとえ頻繁に会っていたり、電話で話したりする親しい間柄であっても、年賀状という改まった形で挨拶をすることで、より丁寧な印象となり、心のこもった感謝と敬意を伝えられます。普段のやりとりがあるからこそ、年に一度の特別な挨拶がより心に響くかもしれません。
年賀状は、旧年中にお世話になったことへの感謝と、新しい年の健康や幸せを願う気持ちを伝えるための大切なコミュニケーションツールです。特に結婚して最初の年は、新しい家族として「これからどうぞよろしくお願いします」という気持ちを伝える重要な機会となります。一枚の年賀状が、義両親との良好な関係をさらに深め、良い一年をスタートさせるきっかけになることでしょう。
1-2. 義実家が喪中の場合はどうする?
義実家が喪中(ご不幸があってから一年間)の場合、新年を「お祝い」する挨拶状である年賀状を送ることは控えなければなりません。「賀」という言葉にはおめでたい意味が含まれるため、お悔やみ事があった方へ送るのはマナー違反となります。
その代わりに、松の内(一般的に関東では1月7日、関西では1月15日)が明けてから立春(例年2月4日ごろ)までの間に、「寒中見舞い」を送るのが丁寧な対応です。寒中見舞いは、寒い時期に相手の健康を気遣う挨拶状であり、喪中の方へのご挨拶としても使うことができます。
その際は、お祝いの言葉を避け、故人を偲び、ご遺族を気遣う言葉を添えるように心がけましょう。
<文例1>
寒中お見舞い申し上げます
ご服喪中のことと存じ 年頭のご挨拶は控えさせていただきました
ご家族の皆様には お変わりなくお過ごしでしょうか
寒い日が続きますので どうぞお体を大切にお過ごしください
1-3. 自分(夫婦)が喪中の場合は?
ご自身(夫婦)が喪中の場合も同様に、年賀状を出すのは控えます。その代わりに、相手が年賀状の準備を始める前の11月中旬から12月初旬ごろまでに、「喪中はがき(年賀欠礼状)」を送るのが一般的です。これは、「喪中のため、新年のご挨拶を失礼させていただきます」ということを事前にお知らせするためのものです。
もし喪中はがきを出しそびれた相手から年賀状が届いた場合は、松の内が明けてから寒中見舞いとして返信をします。その際には、まず年賀状をいただいたことへのお礼を述べ、次に喪中であったためにご挨拶が遅れたことを伝え、最後に本年も変わらぬお付き合いをお願いする言葉で締めるとよいでしょう。
<文例2>
寒中お見舞い申し上げます
ご丁寧な年始のご挨拶をいただき ありがとうございました
昨年〇月に父〇〇が永眠いたしましたので
年末年始のご挨拶を控えさせていただきました
本年も変わらぬお付き合いのほど どうぞよろしくお願い申し上げます
2. 失敗しないための準備編。いつまでに、どんなデザインを選ぶ?
2-1. いつまでに出せば元旦に届く?
せっかく送るなら、新年の始まりである元旦に届くようにしましょう。日本郵便では、例年12月15日から年賀状の引受を開始しており、12月25日までに投函すれば、全国(一部地域を除く)へ元旦に届けられるようになっています。
もし準備が遅れて25日を過ぎてしまっても、松の内(一般的には1月7日)までに届けば失礼にはあたりません。ただし、元旦に届かないことが分かっている場合は、日付を「令和〇年 元旦」ではなく「令和〇年 一月」とすると、より丁寧です。
万が一、松の内も過ぎてしまった場合は、「寒中見舞い」として送りましょう。慌てて準備して間違いがあっては大変ですので、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることをおすすめします。
2-2. デザイン選びのポイント
年賀状のデザインは、義両親に近況を伝え、喜んでもらうための大切な要素です。相手の好みや人柄を思い浮かべながら選んでみましょう。
- 写真入りデザイン
お子さんがいる場合は、その成長ぶりが分かる写真を入れると、お孫さんの顔が見られるので大変喜ばれるでしょう。ご夫婦二人の仲睦まじい写真も、元気に過ごしている様子が伝わり好印象です。写真を選ぶ際は、背景がすっきりしていて、表情がよく見えるものを選ぶとよいでしょう。 - イラストデザイン
写真を使わない場合は、落ち着いた雰囲気の和風デザインや、干支をモチーフにしたもの、縁起の良い柄(松竹梅や鶴亀など)のイラストを選ぶと、新年のご挨拶にふさわしい一枚になります。義両親の年代に合わせて、あまりカジュアルすぎない、品のあるデザインを選ぶのがポイントです。派手すぎるデザインや、キャラクターものは避け、誰が見ても気持ちの良いデザインを心がけましょう。
2-3. 間違えやすい「賀詞」の選び方
賀詞(がし)とは、「謹賀新年」や「あけましておめでとうございます」といった新年をお祝いする言葉のことです。これにはさまざまな種類があり、送る相手によって使い分けるのがマナーです。
特に注意したいのが、「賀正」や「迎春」といった漢字一文字や二文字の賀詞です。これらは相手への敬意を簡略化した表現とされており、友人や年下の方に使うのは問題ありませんが、目上の方に使うのは失礼にあたります。
義両親は目上の方にあたるため、敬意を示す「謹」や「恭」といった文字が入った四文字の賀詞や、「謹んで新年のお慶びを申し上げます」といった丁寧な文章のものを選ぶのが鉄則です。もちろん、関係性によっては「あけましておめでとうございます」のような柔らかい賀詞でもまったく問題ありません。
【義両親への年賀状に適した賀詞の例】
- 謹賀新年(きんがしんねん):謹んで新年をお祝い申し上げます
- 恭賀新年(きょうがしんねん):恭しく新年をお祝い申し上げます
- 謹んで新年のお慶びを申し上げます
- 恭しく新春のお慶びを申し上げます
3. 【書き方編】宛名から一言メッセージ文例まで

ここでは、実際に年賀状を書く際の具体的なルールと、さまざまな状況で使えるメッセージ文例をご紹介します。心を込めた一言を添えて、あなたらしい年賀状を完成させましょう。
3-1. 宛名・差出人の基本ルール
【宛名の書き方】
- 敬称
義父、義母、それぞれのお名前に「様」を付けます。連名にする場合、敬称を一つにまとめないように注意しましょう。 - 連名
世帯主である義父のお名前を中央に少し大きめに書き、その左側に義母のお名前を書くのが一般的です。ご家族全員に宛てる場合は、「(義父の氏名)様 ご家族様」としてもかまいません。
【差出人の書き方】
- 連名
夫婦連名で記載します。夫の氏名を右側に書き、その左側に妻の名前のみを書きます。名字は中央に一つだけ書くか、夫の氏名にだけ付けます。 - 住所・氏名
宛名よりも少し小さい文字で書くと、全体のバランスが良くなります。アパートやマンション名、部屋番号まで忘れずに正確に記載しましょう。
3-2. 基本の一言メッセージ文例
日頃の感謝や、相手の健康を気遣う言葉を添えるのが基本です。定型文にあなた自身の言葉を少し加えるだけで、温かみのあるメッセージになります。
<文例3>
昨年は大変お世話になりました
いつも何かとお心遣いをいただき 心から感謝しております
まだまだ寒い日が続きますので どうぞご自愛ください
本年もよろしくお願いいたします
<文例4>
旧年中は公私にわたりお世話になり ありがとうございました
お二人にはいつも温かく見守っていただき 感謝の気持ちでいっぱいです
本年がご家族皆様にとって素晴らしい一年となりますようお祈り申し上げます
<文例5>
ご無沙汰しておりますが お変わりなくお過ごしでしょうか
なかなかお会いできませんが 私たちは元気に過ごしております
寒さ厳しき折 どうぞご無理なさらないでください
またお会いできる日を楽しみにしております
3-3. 状況別の一言メッセージ文例
結婚や出産、転居など、近況報告を兼ねる場合の文例です。LINEや電話ですでに伝えている近況も多いかと思います。年賀状では、その際の感謝の気持ちや、その後の様子を伝える形にすると、より自然で温かみのあるメッセージになります。報告は簡潔に、丁寧な言葉で伝えましょう。
【結婚して初めての年賀状】
昨年は私たちの結婚に際し 温かいお力添えをいただきありがとうございました
未熟な二人ですが 力を合わせて温かい家庭を築いていきたいと思っております
今後とも変わらぬご指導のほど よろしくお願い申し上げます
【出産報告を兼ねる場合】
昨年は〇〇の誕生に際し 温かいお祝いを本当にありがとうございました
おかげさまで〇〇もすくすくと育ち 我が家は初めてにぎやかな新年を迎えています
また近いうちに 孫の顔を見に遊びにいらしてくださいね
【転居報告を兼ねる場合】
昨年〇月に下記住所へ転居いたしました
お近くにお越しの際は ぜひお気軽にお立ち寄りください
新しい環境で心機一転 頑張りたいと思います
今後ともどうぞよろしくお願いいたします
【子どもの進学などを報告する場合】
長男の〇〇も この春から小学生になります
いつも温かく成長を見守ってくださり ありがとうございます
本年も親子共々 どうぞよろしくお願いいたします
4. 最終チェック!知っておきたい年賀状のNGマナー
最後に、うっかりやってしまいがちな年賀状のNGマナーについて確認しておきましょう。これらは伝統的な書状のルールですが、相手を不快にさせないための、ちょっとした心遣いと考えてみてください。
4-1. 句読点は使わないのが基本
日本の伝統的な書状では、原則として「、」(読点)や「。」(句点)といった句読点は使いません。これには、古くは毛筆で手紙を書いていた文化の名残であることや、「お祝い事には区切りをつけない」という縁起を担ぐ意味が込められています。
文章が読みにくくなる場合は、句読点の代わりにスペース(空白)を一文字分入れたり、改行したりして調整すると、マナーを守りつつ読みやすい文章を作成できます。
4-2. 使ってはいけない「忌み言葉」
新年のお祝いである年賀状では、縁起の悪いことや物事の終わりを連想させる「忌み言葉」の使用は避けるのがマナーです。特に注意したいのが「去年」という言葉です。「去」という漢字には「離れる・去る」といった意味があるため、「昨年」や「旧年中」という言葉を使いましょう。
【忌み言葉の例と言い換え】
- 去る、去年 → 昨年、旧年中
- 失う、絶える、滅びる → (使わない)
- 終わる、破れる → (使わない)
- 衰える、枯れる → ますますのご発展、ご健勝
4-3. 書き損じたときの修正方法
万が一、宛名やメッセージを書き損じてしまった場合、修正テープや二重線で訂正するのはマナー違反です。目上の方への手紙で修正跡があるのは大変失礼にあたります。
書き損じた場合は、新しいはがきに一から書き直すのがもっとも丁寧な対応です。もし予備のはがきがない場合は、郵便局の窓口で所定の手数料(1枚6円)を支払えば、新しいはがきや切手などに交換してもらうことができます。
まとめ

今回は義両親への年賀状の書き方について、基本的なマナーから具体的な文例まで詳しく解説しました。最後に大切なポイントを振り返ってみましょう。
- 宛名や賀詞など、目上の方への敬意を示す基本ルールを守る。
- 一言メッセージは、状況に合わせて感謝や気遣いの気持ちを具体的に添える。
- 句読点や忌み言葉といった、伝統的なNGマナーを避ける。
さまざまなルールがありますが、何よりも大切なのは「今年も良い一年になりますように」と相手を想う心と、日頃の感謝の気持ちです。形式にとらわれすぎる必要はありません。この記事があなたの心のこもった年賀状作りのお役に立てれば幸いです。
新しい年が、ご家族の皆様にとって素晴らしい一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。
記事の監修者

.a Career代表
国家資格キャリアコンサルタント/ワークプレイスハラスメントカウンセラー/研修講師。
医療・航空・行政で培った経験を活かし、品格ある接遇やビジネスマナー、書面での礼節(年賀状・挨拶状・ビジネス文書など)に関する研修を実施。組織の信頼と品質向上を支援し、企業研修や講演でも高い評価を得ている。



